JIS S 0101とは 取扱説明書の警告図記号を決めている規格。禁止・注意・指示の3つの警告図記号

JIS S 0101とは 取扱説明書の警告図記号を決めている規格

当方では、消費者向けの取扱説明書を作るとき、警告の図記号は基本的にJIS S 0101「消費者用警告図記号」に定められているものを使っています。家電の取扱説明書の「安全上のご注意」でよく見る、赤い丸に斜線の記号や、黄色い三角の記号は、この規格がもとになっています。

この記事では、JIS S 0101の内容と、取扱説明書で使うときの考え方を紹介します。

JIS S 0101とは

JIS S 0101:2000「消費者用警告図記号」は、2000年2月に制定されたJISです。2015年に確認され、2018年12月には追補が出ています。規格番号の頭の「S」は、JISの部門のうち「日用品」を表しています。

対象は、日常生活で使う消費者向けの製品と、その取扱説明書などに使う図記号のうち、警告のための図記号です。人へのけがだけでなく、物の損害を未然に防ぐために、禁止、注意、指示などを消費者に目で見て伝える図記号を定めています。食品や薬品は対象外とされています。

図記号が多すぎて、伝わらなかった

この規格が作られた背景は、規格の解説に書かれています。

図記号は、文章よりも理解しやすいという利点がありますが、当時はあまりに種類が多く、消費者が意味を理解できないことが多くなっていました。似た図記号が区別できない、製品の種類ごとに同じ意味でも違う図記号が使われている、といった状態だったのです。警告の図記号は危険を防ぐためのものなので、誤解されると事故につながりかねません。そこで、図記号を統一するために、この規格が作られました。

制定にあたっては、図記号のJISとして初めて、消費者団体などの協力を得て、図記号がどの程度理解されるかを確かめる評価試験も行われています。その中で、国際規格の図記号でも理解度が低いものが見つかった、と解説には書かれています。図記号は、作った側が「わかるだろう」と思っても、使う人に伝わるとは限らない、ということです。

3つの基本形と、規定されている図記号

JIS S 0101では、警告の図記号を3つに分け、それぞれに基本の形と色を決めています。

マーク 分類 基本形と色 意味
禁止図記号の基本形(赤い円と斜線) 禁止図記号 赤い円と斜線 その行為を禁止する
注意図記号の基本形(黒い枠の黄色い三角) 注意図記号 黒い枠の黄色い三角 発火、破裂、高温などへの注意を促す
指示図記号の基本形(青い円) 指示図記号 青い円(中の図は白) 指示に従った行為を求める

※マークは、基本形のイメージを当方で作成したものです。実際の図記号の形や色は、規格で確認してください。

規定されている図記号は、禁止が6種類(火気禁止、接触禁止、風呂・シャワー室での使用禁止、分解禁止、水ぬれ禁止、ぬれ手禁止)、注意が6種類(一般注意、発火注意、破裂注意、感電注意、高温注意、回転物注意)、指示が2種類(一般指示、電源プラグをコンセントから抜く)です。附属書には、このほかに業界で使われている図記号の例も載っています。

製品本体に表示する場合の図記号の最小の大きさや、背景とのコントラスト、取扱説明書や包装に表示する場合の例なども示されています。

危険・警告・注意の定義

JIS S 0101では、危害や損害の程度を表す「危険」「警告」「注意」も定義しています。危険と警告は、死亡や重傷を負うおそれの程度で区別され、注意は、けがを負うことが想定されるか、または物的損害の発生が想定される程度とされています。

日本の家電の取扱説明書で「注意」に物的損害も含まれているのは、この定義がもとになっています。なお、機械の取扱説明書についてのJIS B 9719の解説では、物への注意を示すシグナルワードとして「注記(NOTICE)」があることが補足されていて、規格によって扱いが異なります(JIS B 9719については「機械の取扱説明書に関わるJIS」で紹介しています)。

国際規格との関係

JIS S 0101の図記号の多くは、制定当時のISOやIECの図記号を取り入れたものです。解説によると、制定前の調査で、ほとんどの業界がすでに国際化に対応していたことから、JISやISO、IECで定められた図記号を採用し、国際規格になっていない業界の図記号は附属書に参考として載せる形がとられました。

一方で、海外の製品では、同じ意味でも違う図記号が使われていることがあります。現在は、安全標識の国際規格としてISO 7010が使われていて、海外向けの製品や取扱説明書ではこちらが参照されることも多くあります。

海外メーカーの製品やOEM製品の取扱説明書を日本向けに作るときは、図記号が日本で一般的でないこともあるので、日本で一般的でわかりやすいものに差し替える必要があります(輸入品の取扱説明書については「輸入品・OEM製品の取扱説明書は、メーカー任せにできない」で紹介しています)。

取扱説明書で使うときの考え方

色が使えないとき

取扱説明書は、1色や2色で印刷することも少なくありません。規格の解説でも、取扱説明書では印刷の条件から規定の色が使えないことが少なくない、とされています。そのうえで、指示の図記号に禁止の赤を使うといった色の誤用は避け、色以外の方法で目立たせる工夫が必要だとしています。

当方では、1色で印刷するときは、コントラストをつけるために、図記号は基本的に100%の濃さで作っています。

独自の図記号に出会ったら

メーカーから支給された資料に、規格にないオリジナルの図記号が使われていることが、ときどきあります。

規格の図記号に置き換えられるものは置き換えます。一方で、規格には当てはまらなくても、わかりやすいものはそのまま使ってもいいかな、と考えています。最終的な目的は、使う人に伝わることです。規格に合わせることそのものが目的ではないので、そこはケースバイケースで、その都度判断しています。

まとめ

  • JIS S 0101は、消費者向けの製品と取扱説明書に使う警告図記号を定めたJIS。2000年に制定され、2018年に追補が出ている
  • 図記号が多すぎて伝わらなかったことから、統一のために作られた。消費者による理解度の評価試験も行われている
  • 禁止(赤い円と斜線)、注意(黄色い三角)、指示(青い円)の3つの基本形があり、14種類の図記号が規定されている
  • 「注意」には物的損害も含まれると定義されている
  • 海外の図記号は、日本で一般的なものに差し替える。最終的な目的は、使う人に伝わること

取扱説明書に関わるほかのJISは「取扱説明書に関わるJISの一覧」、消費者向けの取扱説明書の指針は「JIS S 0137とは」で紹介しています。

当方では、JIS S 0101やJIS S 0137を踏まえた、消費者向けの取扱説明書の制作や見直しに対応しています。お気軽にお問い合わせください。


※JIS S 0101の内容は、JIS S 0101:2000の本文と解説をもとに要約しています。

※本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の製品の法令適合性を保証するものではありません。

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